保護者Yさんの声
フレップ卒業に思うこと
2017年3月、約一年間お世話になったフレップを長男は卒業しました。
4月から、地元の中学校に通い始めるために。
小学校5年生の夏休みに突然、「俺、不登校になる」と宣言して、二学期からほんとうに学校に行くのをやめてしまった長男の1年7か月の不登校生活は、ちょっと変わっていました。
今思えば私たちが、家に引きこもることを許さずに、学校へ行かない道を選んだのなら、そうではない自分なりの道を模索すべきと、あれやこれやと彼に行く場所を提案したのですね。
あれはきつかった、と後で本人の告白を受けますが、私も一所懸命でした。その結果、不登校だった間、だいたい彼の一週間は、何かしらの予定で埋まっていました。
フリースクールも、見学だけも含めていくつか行ってみたし、習い事、ボランティア、何かの体験イベント、そしてカフェのお手伝い。
でも、私が提案してとりあえず行ってみた中で、本人が自分に合う場所だけに絞って通い続けましたので、自然に淘汰されていきました。本人が居心地よく楽しいと感じた場所が彼の最高の学びの場所であり、その人たちが最高の先生でした。私はきっかけを作っただけで、自ら手探りでそれを切り開いてきた1年7ヵ月だったなと、息子のことも褒めたいですし、たくさんの素晴らしい出会い、皆さんのあたたかな育みに驚きと感動を覚えます。また、このことを通して、親である私たちもとても成長させられました。
フレップも、長男が気に入って通い続けた居場所の一つです。
何がよかったのか。彼にとっては、小さな空間の中に驚くほど「やれること」が詰まっていて、その一つ一つが面白く魅力的で、家ではやれないことだった、という活動面の魅力。そして、お友達のような、姉貴のような、朴さんの存在がまんまと(笑)よかったのでしょう。「斜めの関係」というやつが。不登校の間、大学生から大人までの人との人間関係を求めていた長男は、それまでの学校生活の中での同世代との人間関係に疲れていたのだと思います。そんな話の分かる姉貴と、少人数の同じ立場の仲間たちとの安心できる空間で、時々おもしろいゲストとの出会いも用意されていて、楽しみながら自分の世界を広げていかれた場所だったんじゃないでしょうか。朴さんにイラストを描くことの楽しさも教えていただき、絵を描くのが好きな自分を発見することもできました。たったの一年間ですが、長男にとっての懐かしい学び舎になっていくことだろうと思います。
母である私にとってのフレップ。お若いのにとてもしっかりされている朴さんに最初はとても驚きましたが、なんでもご相談してしまうほど頼りにするようになりました。「毎月の基本料金は、いつでも何度でも面談やお電話で相談していただいて構わないという料金です、私を使ってください」の意味が初めはわかりませんでしたが、このにくいシステムのおかげで本当に気兼ねなく相談をすることができるのですよ。そうでなければ、相手の時間を使ってまで自分の相談を持ち掛けるということは、なかなかできないものです。「いつでも相談してね」ってみんな言ってくれますが、たいていは遠慮してしまって自分で解決しようとしてしまいます。フレップが悩んでいる親御さんに本当の意味で開かれているのは、こういうところです。そして、相談をしたら、朴さんのアドバイスはいつも的確で期待を裏切らない。少なくても私にとってはそうでした。そこには、知識と経験の豊富さと、子どもたちの状態を観察して見抜く、理解する能力の高さ(センスの良さ)が感じられました。わが家の子どもたち(次男も時々お世話になっていました)の特質や親の育て方、家族の関係などについて客観的な意見を言ってもらえると、とても助かりました。3月で長男がフレップを卒業してしまうと、心もとないのは私のほうです。(これからも時々、相談させてくださいね。)
とても心が繊細な長男は、フレップも含めた様々な居場所であたたかな人たちに育まれ、自信を回復しました。いやどのくらい回復したのかはわかりませんが、少なくとも親との微妙な関係の中で自尊心をぺしゃんこにされることは免れたので、恐怖を感じている同世代の集団に戻っていく道に踏み出すことができました。最初の一週間が過ぎ、「中学はなかなか楽しいよ」なんて言っております。今後の彼の新しい人生に、このおもしろい色とりどりの1年7ヵ月がどのように生きてくるのかを見るのが今後の楽しみです。